※コミュニケーションとる余裕がないので、連絡やコメント頂いても原則お返事できません。

2014年2月22日土曜日

神達地区には100年前から堤防が!?

実は、神達地区の住民からの気になる証言がもうひとつあるので紹介しよう。 

神達地区というと、1986年の噴火以降に、「御神火スカイライン」という登山道路が整備されたのをきっかけに、新しい住宅地として開発が進んだ地区である。 
今回災害にあった住民は、ほとんどそれ以降に移住してきた新しい住民なのだが、それ以前から住んでいたという住民も少数ながら居る。

証言を頂いた住民の方は、先祖代々神達地区に住んでいらっしゃるそうで、何と自宅の敷地には、昔から山から流れてくる水(つまり山津波!!)を防ぐための土手がある・・・というのである。

下の写真がその土手であるが、これは1メートルほど土を盛って、その上に椿などの木を植えて補強したもので、大正生まれの母親から、「山から水が出るのでこれを絶対に切ってはいけない」と言い伝えられていたそうである。

山からの水を防ぐために先祖が造ったとも考えられる『堤防』

これは思いのほか重要な証言ではないのかと思うのだが、この言い伝えをされたというお母上は大正生まれだそうなので、もしかしたら100年以上前のその頃から、神達地区にはこのような「山からくる洪水」への備えとして、堤防が造られていたのかも知れないのである!

この堤防がいつ造られたかは、残念ながら今となっては定かではないので、もしかしたら1958年に土砂災害を起こした狩野川台風とも関係があるのかも知れないが、上記の説明の通り、おそらくそれ以前から存在している可能性が高い。

一方で考古学的調査からは、神達地区には、過去数百年の間に何回も土石流に襲われている痕跡が発見されており、この証言は、この辺りが「定期的に土石流(山津波)が襲ってくる地域である」という学説を裏付けるものであると言える。

定期的・・・とは言っても、スパンが数十年に1度という非常に長い期間なので、災害の記憶が忘れられてしまい、今回のように何も知らずに移住した新住民が、何の備えもなく災害に巻き込まれてしまったわけである。

堤防の建築年代は不明。今回の土石流でだいぶ削れてしまっている
しかし、代々この地域に住んでいる住民が、体験的に山から土石流が流れてくることをよく知っていたとして、もうひとつ考えなければならないのが、この“堤防”の高さの問題である。
つまり、経験的には1メートルほどの堤防があれば山からの土石流(山津波)は充分防げるのだ・・・と住民が考えていた可能性が高いわけなのである。

1958年の狩野川台風の時の山津波も、おそらく規模から言えば、このくらいの堤防で充分効果があったはずである。

だが、今回の台風26号による山津波は、この堤防を軽々と乗り越えて敷地に侵入し、建物をいくつも押し流すなどの大きな被害をもたらした。

と言うことは、やはり今回の台風26号による土砂災害(山津波)は、現地住民の経験的知識をも上回るほどの空前の規模の災害であり、きわめて異常な事態だった・・・ということが言えるであろう。

これが、あくまで数百年に1度という長いスパンでの自然災害ということなのか、それとも道路や砂防ダムなど巨大人工物による影響がもたらしたものなのか、さらに慎重に調べていかなければなるまい。


0 件のコメント:

コメントを投稿